
現在、これほど多くの人が表現に携わっている時代は、人類史上初めてのことだと思います。デジタル化とインターネットにより、世界中の人々が繋がり、情報を発信し、絵を描いたり文章を書いたり、多種多様なマンガ表現も仮想空間に溢れています。
ただ表現をするだけなら誰にでもできます。短く発した言葉も、数本の線も、罵詈雑言も表現の一つですが、それだけでは自らが創造した世界を伝えることはできません。表現をすることと、表現者としてあることの間には大きな隔たりがあり、表現者として生きることは素晴らしく幸福なことと、恐ろしく困難なことが、いつもないまぜになって、時には悶え苦しむような時間を過ごさなくてはならない時もあります。
大学院は、表現者として、研究者としてありたいと考えるみなさんを歓迎します。前期課程の2年はあっという間に過ぎてしまうかもしれないし、充実した密度の高い時間であるかもしれません。さらに専門分野を掘り下げたいと後期課程に進んで、抜き差しならない人生の時間を費やすことも一興です。
頭をフル回転させて、手を動かし続けて、本もマンガも読みまくって、映画やアニメを観まくって、ありとあらゆる表現や文献を自らに染み込ませ刻みつけるように吸収し、教員、学生と分け隔てなく議論を重ね、濃密な時間と空間を利用してください。
自分自身と向き合う時間も大切ですが、一人でいることはいつでもできます。
表現とは、形にしない限り誰にも見せることも、読んでもらうこともできません。常に具現化すること、具体化すること、客観的視点を持ち続けることを忘れてはいけません。
教員もまた発展途上の未熟な人間です。一緒に表現し続けましょう。一緒に研究し続けましょう。