「不眠症」
本研究では、カメラワークの手法を絵本の構図に応用することで、若年層が抱えるネガティブな感情をより深く理解し、適切に表現する方法を探求する。具体的には、カメラのアングルや距離、フレーミングなどの要素を絵本の構図に組み込むことで、ネガティブな感情を効果的に描写する手法を研究する。具体的には、映画の手法が静止画の媒体である絵本においてどのように感情表現に影響を与えるかを実験するため、今回の修了作品は「ノスタルジア」をテーマにして、複数の静止画をまとめて一つのエピソード(物語ではなく)を語る作品を3つ(合計で36枚)作りました。
今回の作品は、眠りに落ちにくい小さな男の子が半醒半睡の状態でさまざまな幻覚を経験する様子を描いています。この絵本では、不安や失眠に伴う浮遊感、めまい感、抑圧感などが視覚的に表現されています。具体的な表現方法として、作品の画面は古い白黒映画のフィルムの質感を模倣し、主観的な「Long shot」の手法を使って物語全体を語っています。これにより、映画の手法が絵本の媒体でどれくらい有効に使用できるか、およびこの手法が感情表現に与える影響を探求しています。